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留学体験記:アラバマ大学での留学を終えて

工学研究科物質工学専攻 西島千佳
2004年の9月から約一年間、私はThe University of Alabama, Department of Chemistryにて交換研究生として留学してまいりました。アラバマ大学は名古屋工業大学の提携校のひとつであり、大変長い交流の歴史を持っています。今回、私はどのような交換留学プログラムをアラバマ大学・名工大間で立ち上げ、そして実行してきたのかを報告させていただきます。

「なぜ留学をしたいのか?」それは『国境を越えて多くの人と共に働きたい』という夢を小さな頃から願い続けているからです。これまで日本人に限らず世界各国の人々との出会いを大切にしてきましたが、友人が増えれば増えるほど、自分の足りないものに気付かされました。それは何気ないコミュニケーションの中で必要なものであったり、もちろん語学力も大きな課題でした。将来、どのようなビジネスのシーンにあっても対応するためのスキルを身に付けたいと思い、留学することを決意しました。

ここで、単に語学留学するのはつまらない!と思いました。私は提携校の中にアラバマ大学を見つけ、そこの研究室で一年間お世話になれないか?という案を留学生課の方にもちかけました。留学生課からアラバマ大学のEmplaincourt女史に連絡を取ってくださり、交換研究生として受入れが可能になりました。さらに私はDepartment of Chemistryをはじめ大学内の全学部から自分の興味のある研究室を探し、私の担当教官である増田秀樹教授にお願いをして推薦状を送っていただきました。アラバマ大学のJohn B. Vincent教授は私の派遣を快く受け入れてくださり、留学の話が少しずつまとまってきました。

また、一年間分の学費と現地での生活費を捻出する必要がありました。私はウシオ育英文化財団からの給与制奨学金と日本学生支援機構からの奨学金により、この留学を支えるだけの資金を得ることが出来ました。とくに、日本学生支援機構の『短期留学推進制度』を活用できたことがこれらの経済的な問題を解決する上で大きかったと思っています。このように奨学金の授与も決まり、無事にビザの申請も短期間で終え、アメリカに出発しました。

研究室に入ったものの、アメリカの大学院は日本のそれとは大きく違い、最初は戸惑うことが大変多かったです。実験は世界各国どこでも同じなのですが、それを検討していく上でのディスカッションに大変苦労しました。当初は簡単な状況説明もうまく出来ず、悔しい日々の連続でした。しかし、黙っていては前に進めません。私は間違いを恐れずにとにかく自分の言いたいことをぶつける姿勢を貫き通すことにしました。その甲斐もあり、次第に自然なディスカッションが出来るようになり、最後はメンバー全体を巻き込んでの議論に発展させるまでになりました。

また、沢山の友人を作ることが出来ました。アラバマは“Heart of Dixie”(南部の中心)といわれるようにアメリカ南部の古くからの伝統を引き継ぐ州です。とくに私がいたTuscaloosa(タスカルーサ)はその名残りも多く、大変アメリカ文化を学ぶ上ではよい土地に来ることが出来たと思っています。私の友人の多くが“Southern Baptist”(南部バプテスト派信者)でした。大変信仰心のあついキリスト教徒であり、“Southern Hospitality”に溢れる素晴らしい人々でした。週末は教会に行き、“Bible Study”に参加しました。放課後はよく友人とディナーや映画に行き、またある日は一晩中いろいろなことを話し込んだりしました。日本で23年間生きてきた私の考えと“Heart of Dixie”の中でずっと生活してきた彼らの考えは全く違うところがあり、それをお互いが理解しあえる機会が持てたことも私にとって大変幸せなことでした。
アラバマにおいて、日本にいては出会うことがなかったであろう人々に出会い、様々な貴重な体験をし、多くのプライスレスなものを得ることができました。これらは今後の私の人生に大きく影響を与えるものであると確信しています。本当にこのような素晴らしい留学を達成することができたことを幸せに思っています。

最後に、この留学をするにあたってお世話になりました名古屋工業大学国際交流課の皆様、国際交流センターの皆様、現地において多くの知識を得るための機会を与えて下さったアラバマ大学のスタッフ及び研究室の皆様、留学中も留学後もいつも支えてくださった名古屋工業大学増田研究室の皆様、苦しいときも楽しいときも一緒にいてくれたアラバマ大学の友人達、アメリカでの日本的生活をお教え下さったアラバマ州日本語補習校の皆様、そしてどんなときも大きな愛情を持って支えて下さった私の家族に心から感謝しております。この場を持って御礼申し上げます。ありがとうございました!
Dr. John B. Vincentと(ミシガン大学での国際学会にて) アラバマ大学のアメリカンフットボールの試合 友人達が開いてくれた帰国前のお別れパーティー
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