機能工学専攻博士前期課程1年 山本 篤徳
私は今回、(財)海外貿易協会(JODC)の海外就業体験プログラムに参加し、主に自動車のゴム部品を製造している中小企業のインドネシア工場で17日間の研修を受けました。現在、大手製造業者に限らず、中小企業もその生産拠点を東南アジア諸国に移しています。製造業への就職を希望する私にも、将来海外出張や海外勤務の機会は十分にあり、また興味も持っています。そこで、就職前の就業体験と共に海外勤務の雰囲気を体験するために、本プログラムへの参加を決めました。
当初インドネシアに対しては田舎のイメージがあったのですが、実際に行ってみると首都ジャカルタには高層ビルが立ち並び、東京並の大都市であったことに驚かされました。私が研修を受けた工場は、ジャカルタから車で約1時間のチカンペックにある日系企業の工業団地内にあり、毎朝滞在先のホテルから迎えの車で約1時間かけて出社していました。
実際の研修内容は国内インターンシップとは異なり、いろんな部署を回り、可能なものは作業体験させて頂くといった形のものでした。はじめの数日は日本人スタッフの方も研修に同行して下さったのですが、その後は現地人の担当者のみになり、主な会話は英語とインドネシア語とボディーランゲージで行っていました。現地の方はみんな明るく親切で、担当者に限らず、多くの方が言葉の分からない私に対して理解するまで一生懸命教えてくれました。
また、現地の日本人スタッフの方からも様々なお話を伺ったのですが、現地に工場を建てるに当たって、やはり文化・習慣の違いではかなり苦労されたみたいです。特に現地の方は、自分のミスが会社全体に繋がるという意識が低かったようで、それを正すために様々な工夫をされたようです。
17日間と短く、また言葉もほとんど通じない環境だったので、現地の人の会社や日本に対する生の声を直接聞くことはできなかったのですが、海外勤務の雰囲気を味わえた事は非常に大きな経験だったと思います。海外勤務イコール言葉の壁のイメージが大きいのですが、言葉に関しては「現地に暮らせば自然に身に付く」といった印象が強かったです。それよりも、現地の人の考え方や習慣を理解することが大切だと思いました。いくら言葉が話せても、ニュアンスの違いなどで気持ちがうまく伝わらない事も多いらしく、海外勤務に当たっては、日本的な考えに固まらず現地と日本双方の長所を組み合わせた新しい考え方が必要であると感じました。
このようなことを考え、感じられたのも、実際に海外に行って生の体験を受けたからであり、まさに「百聞は一見に如かず」がピッタリな体験でした。また、本プログラムは、JODCおよび受入れ企業からの資金援助と危機管理体制が整っており、安心して研修を受けられたことも、このような成果を挙げられた理由だと思います。
私の周りでは海外勤務を敬遠する声がたくさん聞かれます。でも、怖がる前にまずは前向きに考えてみてください。国内では味わえない事がたくさん待っていると思いますし、またそれに魅力を感じるようになると思います。このような機会はなかなか無いと思うので、興味のある方はぜひ参加して、自らの将来に役立てて欲しいです。
